「マネジメント」の現代版、「経営の真髄」

 
今週の1冊は、またまたドラッカーの本です。
けれども、この本、ドラッカーの没後、昨年(2012年)9月に出されたものです。
ドラッカー著、とはなっているのですが、ジョゼフ・A・マチャレロ編と書いてあります。

経営の真髄(上)(下)

「経営の真髄(上)(下)」 P.F.ドラッカー著
ダイヤモンド社 2012年9月刊amazonで見る(上)amazonで見る(下)


このマチャレロという方、ドラッカーが61~95歳(亡くなった歳)まで講義を行なっていた、クレアモント大学院大学の教授であり、ドラッカーの長年の友人です。
余談ですが、今年(2013年)1月に、六本木のアカデミーヒルズで、マチャレロによるセッション(講義、議論、演習)が行なわれています。
この本は、平たく言うと、ドラッカーの経営思想の決定版「マネジメント」(1973年)の現代版です。
「経営の真髄」の序文に次のように書かれています。
「本書の原版『マネジメント-課題、責任、実践』は1973年の作品である。ドラッカーは、その後、32年間にわたってマネジメントについて健筆をふるった。本書『経営の真髄』は、(主として)1974年から2005年にかけて書いたものによって、原著を更新したものである。
私ジョゼフ・A・マチャレロがその編集にあたった」
マチャレロが、ドラッカーの晩年(2005年)、まだドラッカーが生きていたときから始めて2年間、この本にかかりっきりの結果、2007年の暮れに編集が終わり、2008年に出版されています。
その翻訳版が、日本で昨年出版されたというわけです。
下記のように、上巻がPart1~5、下巻がPart6~10の、全部で10のパートに分かれています。
経営の真髄(上)
Part1 マネジメントをめぐる状況の変化
Part2 企業にとっての成果
Part3 公的機関が成果とすべきもの
Part4 仕事を生産的なものにし、人に成果をあげさせる
Part5 組織にとっての社会的責任
経営の真髄(下)
Part6 マネジメントの仕事
Part7 マネジメントのスキル
Part8 イノベーションと企業家精神
Part9 組織
Part10 個のマネジメント
いろいろ書いてあるんですが、どんな本か、あえてひと言で言うと、
「知識労働の生産性の向上」がテーマです。
本の帯にも書いてありますが……。というか、この本のサブタイトルは「知識社会のマネジメント」だった(笑)。
そして、本の最初に「ビジョナリーカンパニー」の著者、ジム・コリンズがこんなことを書いています。
「ドラッカーとは、この混沌たる世界に光をもたらす存在である。何十年も前に旧式のタイプライターで打ち出した彼の言葉は、いつになっても力を失わない。(略)ドラッカーとは、いま読むべきものである。明日読むべきものである。10年後、50年後、100年後にも読むべきものである」
ドラッカーは、ビジネスのみならず、恐らく人として大切な原理原則を書いているので、決して古くはならないと、私も思います。
さらに、コリンズは、こう書いています。
「読者におかれては、営利非営利を問わず、大切と思うことをやっていただきたい。必要ならば、ご自分で始めていただきたい。そして、マネジメントの力を使って、世の中をリードしていっていただきたい。持てる力を1000倍にも発揮して、不思議なほどに大きな成果をあげていっていただきたい」
私は落ち込んだとき、よくドラッカーやコリンズの本を読んでいます。
お二方とも、超偉大で恐れ多い方々ですが、「師」というよりも「同志」という感じがするのです。
どこか、考え方、価値観で共通するところがあるのかもしれません。
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