今週の1冊:3歳までの育て方で子どもの脳は決まる!

3歳までの育て方で子どもの脳は決まる!

3歳までの育て方で子どもの脳は決まる!
大島七々三、中島真紀著
PHP研究所 2012年12月刊


この本の著者の一人、大島七々三氏は、社会起業家やソーシャルビジネスの本を書いているノンフィクションライターで、私がビジネス誌の仕事をしていたときの仲間でもあります。
この「3歳までの育て方~」の本は、「TOEベビーパーク」という、0~3歳の子どものための親子教室の話ですが、なかなか興味深いものがあります。
もう一人の著者、中島真紀氏がその教室の創始者ですが、中島氏は小学校教諭としてのキャリアをもっています。
教師生活のなかでのアイデアをもとに2人の子どもを育て、その子育ての方法をベースにしたのが、「TOEベビーパーク」です。
この教室の特徴は「叱らない育児」
中島氏によれば、3歳までの子どもは、学びたいという本能からくる「探究反射」が強い。そのため、0歳児はなんでもなめ、1歳児は引き出しを次々に開け、2歳児は走り回ったり高いところに登ったりと、大人から見ると困ったことばかりをする。
その学びたい本能を妨げると、脳内のシナプスや神経細胞が発達する機会を失ってしまう。
そのため、叱らず、かつ、子どもが危険にならないよう、まわりの迷惑にならないよう、大人が配慮することが大切だと言います。
子どもの脳は「海馬」が育っていないので、叱ってもしつけにならない。なぜ叱られたのかという記憶が残らず、ただ「不快・嫌悪・恐怖」しか残らないと言います。
中島氏は「20歳の人間に話す理屈は、噛み砕けば6歳にも通用するけれど、6歳未満には通用しません。6歳までの育児というのは、まるで動物をどうやって人間に変えるか、というようなものです」と言っています。
そういった子どもの特徴を知って、子どもの能力を伸ばすとともに、親にとっても育児を楽しんでもらうというのが、中島氏のメソッドのようです。
「TOEメソッドのすべてをごくシンプルにまとめると次の5項目に集約できます」ということで、書いてあるのが、次のこと。
1 愛情を伝える…目を見つめる、肌に触れる、言葉で伝える
2 対話(ダイアログ)を教える…喃語対話、子ども語訳(「お片付けして」ではなく、「積み木 箱に 入れて」)
3 身体の正しい発達を促す…全身運動、スタビリティ・トレーニング(バランス維持)、その他
4 さまざまな知識を与える
5 社会の仕組みと向上心を教える
親にとって大事なことは「自分の思いや考えだけで子どもをどうにかしようとするのではなく、子どもが発している情報を敏感に感じ取って、そこから無理なく自然に、一つずつ発達、成長するように誘導してあげることなんです」という中島氏。
本書の言う「子どもを育てるということは、親が成長すること」は、0~3歳児に限らず、そのとおりだと思います。

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