挑戦者 Go! Go! 第1回 書道スタジオStart 代表 福山嘉人氏

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さまざまな価値あることに挑戦しているユニークな人たちがいます。より多くの人にその魅力を知らせたい。そして、皆のウキウキを加速させようということで、ツナグバのサイトに誕生しました。
※ウキウキ(浮き浮き)……楽しさで心がはずむさま。うれしさのあまり落ち着いていられないさま(国語辞典)


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書道スタジオ

書道スタジオStart
長崎駅から徒歩5分、長崎市中町にある
http://start-by-gifted.jimdo.com/

「書道スタジオStart(スタート)」は、手ぶらで行って書道ができる、カフェのようなおしゃれな空間だ。
入会金はなく、30分ごと700円の利用料で、筆、墨、半紙などが使える。平日は22時まで、土日祝は20時までの営業で、予約は不要。自分で好きに書くことはもちろん、先生に指導してもらうこともできる。
「Start」を経営しているのは、現在29歳の福山嘉人氏で、2013年2月、27歳のときに、ここをオープンさせた。
福山氏は書家ではなく、起業のきっかけとして書道を選んだ。たとえていえば、オーナーシェフではなく、レストラン経営者という立場だが、書道の業界では珍しい。
実際にビジネスを始めてから、書道の先生たちが仕事として成り立っていないことがわかり驚いた。それと同時に、ビジネスの可能性も感じたという。
喫茶店でコーヒーを飲むように、気軽に、身近に書を楽しめるはず。時代に合うスタイルで、書道を楽しむ文化を創りたい。10年ぐらいかかっても、書道の先生たちが仕事として成り立つようにしたいと、新しいビジネスの構築に挑戦している。


 ―― 起業までの経緯を教えてください。
小さいころから、やりたいことはとくにありませんでした。
高専を卒業する20歳のとき、石材店の実家で働こうと思ったのですが、「ただの甘えだから、ぜったい出ていきなさい」と、母に言われ、内定していた三菱重工で働くことになりました。

福山嘉人氏

福山嘉人
1986年、鹿児島県生まれ。
三菱重工業長崎造船所で働いた後、2013年に長崎市で「書道スタジオStart」を始める。

三菱重工で、6年9か月働き、仕事はきつかったですが、やりがいはありました。
5~6年、働いた頃、「自分の好きなことをしよう」と思いました。
海外出張が長く、メキシコに半年、インドネシアに2年、行っていましたが、これでは、家族との大切な時間を失っていると感じたのも独立のきっかけです。
―― 書道のビジネスをしようと思ったのは?
起業を決めたら、やりたいことは、レストランやバー、サッカースクールなど、いろいろ出てきたのですが、レストランやバーは、なんの経験もない。自分ができることは、サッカーと書道。サッカーは、中学で補欠、書道は小さい頃からやっていて自信があったので、書道にしました。
 ―― 起業に関して、ご家族に相談したのですか? また、長崎で企業した理由は? 資金は?
実家には事後報告です。「頑張りなさい」と言われました。
場所が長崎なのは、実家のある鹿児島よりも好き勝手ができると思ったからで、他の地域は思いつきませんでした。
資金は、貯金はあったのですが、銀行から借り入れもしています。何事も勉強だと思って。

書道スタジオStart

喫茶店のようなおしゃれな空間「書道スタジオStart」

―― そして、いわゆる書道教室ではなく、今のようなスタイルにしたのは?
経営効率から考えると、まとまった数の生徒が、決まった時間にやってくる教室のほうが利益につながります。けれども、将来のことを考えると、いまのような、自由なスタイルでなければ、先はないと思います。まず書に触れる人、母数を増やしていくことだと考えています。
皆さんから今のスタイルを支持していただいて生徒数も毎月増えています。とはいえ、売り上げはゆるやかに上がっていっている状態で、まだまだです。
―― 出張講座もやっていますね。
教室、出張講座、筆耕、物品販売の4つが売り上げの柱です。
今、従業員で書道の先生が1人、そのほかにお願いしている書道の先生が3人います。
実際に書道ビジネスを始めてわかったのは、書道の先生は、仕事として成り立っていない、会社員の給料のほうがよいということです。
この状況を変えたい。10年ぐらいかかると思いますが、できるだけ早く、書道の先生がビジネスとしてやっていけるような環境にしていきたいと思っています。
私は、最初は一人で実際に経営しながら経営のやり方を学び、ノウハウがわかったら、人と一緒に書道ではないビジネスもしていきたいと考えていました。
プロフェッショナルな技術、才能をもち、やる気もあるけれども事業化できない人たちに、経営ノウハウを伝授し、運営していく、多業種のグループをつくりたいと思っていたのです。
今は、仕組みは同じで、書道のグループを作りたいと思っています。書道だけにしたのは、目の前にいる先生たちを大切にしたいからです。それが今の目標です。

福山嘉人氏

「やりたいと思っていることをやる」という福山氏

―― 長期的な視点で考えているからか、福山さんは一喜一憂せず、淡々とやっているように見えますが?
実際、感情の起伏は小さいと思いますし、期待が外れても、落ち込まず、手を止めず、繰り返しやるようにしています。
事業は、継続することが難しいので、継続できるように、やりたいと思っていることをやり、やりたくないことはやりません。
事業に終わりはなく、私は基本、楽しければよいと思っています。貧乏だけど楽しいというのではなく、資金的に問題なく、毎日楽しんで働く、そして、一緒に働いてくれる人が、楽しく働いてくれればいいと思っています。
―― ネットで資金を集めるクラウドファンディングで、フランスのイベントに参加する費用を集めようとしていますね。
参加するイベントは、「FESTIVAL À TOUT VENT(訳:風のフェスティバル)」という、凧揚げイベントで、4日間で6万人が集まります。ベルクシュメールで行なわれ、毎年30万人を集める国際凧揚げ大会「The World Sport Kite Championship」の前哨戦のようなイベントです。
ここで、長崎の凧を揚げるだけでなく、フランスに2週間滞在し、小学校などで、書道のワークショップをする予定です。
実際、資金的に厳しいので、援助してくださいということと、何事も経験だと思い、クラウドファンディングにトライしました。経験とはいえ、成功してなんぼですが(⇒ 福山さんが挑戦しているクラウドファンディング)。

※追記:この記事掲載から22日後の6/27 無事クラウドファンディングの目標を達成されました。\(^o^)/
⇒ 7/22(水)13:30~ 【昼の部】ナガサキの魅力、ニッポンの魅力をフランスで伝えてきた報告会
⇒ 7/31(金)19:00~ 【夜の部】ナガサキの魅力、ニッポンの魅力をフランスで伝えてきた報告会
⇒ 8/7(金) 19:00~ 【成功した人に聞いてみよう】資金集めにクラウドファンディング!書道スタジオ福山嘉人代表の場合

 ―― 最後に、読んでいる人にメッセージを。
やりたいことがある人は、それをやればいいし、ない人は、目の前のことを必死でやれば未来の自分につながっていくと思います。私も、三菱重工のときの調整、やりとりの経験が、今回の渡仏の準備に役立っています。


■サンカクニュースで撮影した動画
「書道スタジオStart」がスタートした2013年2月のもの(左)と、2013年12月に、2014年の「書き初め大会」と「火星ピザ」の案内のために撮影したもの(右)
  

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